ここでは、利用者も多かろう『ステップアップノート30 古典文法トレーニング』(河合出版)に採録されている長文課題の、品詞分解解答例を掲載する。
なお、以下の二点にご留意いただくものとする。
- 品詞分解例は本サイト主が作成したものであること
- 品詞分解は具合によって(たとえば連語や複合動詞をどう分解するか)解答が異なること
「『に』の識別」(更級日記)の品詞分解例
大問三〇(出典:『更級日記』)
◎品詞分解(名詞は基本的に非表示。非活用語は基本的に初出のみ。)
夜深く出でしかば、人々困じて、やひろうぢといふ所に留まりて、物食ひなどするほどにしも、供なる者ども、「高名の栗駒山にはあらずや。日も暮れ方になりぬめり。主たち調度取りおはさうぜよや」と言ふを、いとものおそろしう聞く。
その山越え果てて、贄野の池のほとりへ行き着きたるほど、日は山の端にかかりにたり。「今は宿とれ」とて、人々あかれて宿求むる、「所端にて、いとあやしげなる下衆の小家なむある」と言ふに、「いかがはせむ」とて、そこに宿りぬ。「みな人々京にまかりぬ(※1)」とて、あやしの男二人ぞゐたる。その夜も寝も寝ず、この男出で入りし歩くを、奥の方なる女ども、「などかくし歩かるるぞ」と問ふなれば、「いなや、心も知らぬ人を宿したてまつりて、釜はしも引き抜かれなば、いかにすべきぞ(※2)と思ひて、え寝で回り歩くぞかし」と、寝たると思ひて言ふ、聞くに、いとむくむくしくをかし。
※1:「罷る」は主に謙譲語「(貴人の許から)退出する」の意味だが、ここでは自尊敬語になるのを防ぐために丁寧語で解釈する。
※2:ここでの「べき」は適当(どうするのがよいか、いやどうしようもない)のほか、推量(どうするだろうか、いやどうしようもない)や意志(どうしようか、いたどうしようもない)、可能(どうすることができるか、いやどうしようもない)とも解釈できる。
縦書き用データ
上記をより見やすく編集したデータを掲載する。適宜ダウンロードして学習に活用してほしい。
商品リンク
新規投稿の際に発信している。本サイト下部にリンクがあるので、参照されたい。
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