ここでは、利用者も多かろう『ステップアップノート30 古典文法トレーニング』(河合出版)に採録されている長文課題の、品詞分解解答例を掲載する。
なお、以下の二点にご留意いただくものとする。
- 品詞分解例は本サイト主が作成したものであること
- 品詞分解は具合によって(たとえば連語や複合動詞をどう分解するか)解答が異なること
「敬語法」(十訓抄)の品詞分解例
大問二五(出典:『十訓抄』)
◎品詞分解(名詞は基本的に非表示。非活用語は基本的に初出のみ。)
大納言行成卿、未だ殿上人にておはしける時、実方中将、いかなる憤りかありけん(※1)、殿上に参り(※2)会ひて、言ふこともなく、行成の冠を打ち落として、小庭に投げ捨てけり。行成、少しも騒がずして、主殿司を召して、「冠取りて参れ」とて、冠して、守刀より笄抜き取りて、鬢かい繕ひて、居直りて、「いかなることにて候ふやらん(※3)。忽ちにかうほどの乱罸に与るべきことこそ覚え侍らね。その故を承りて、後のことにや侍るべからん」と、ことうるはしく言はれけり。実方は白けて逃げにけり。
折しも小蔀より、主上御覧じて、「行成はいみじき者なり。かくおとなしき心あらんとこそ思はざりしか」とて、そのたび蔵人頭空きたりけるに、多くの人を越えてなされにけり。実方をば中将を召して(※4)、「歌枕見て参れ」とて、陸奥守になしてぞ遣はされける。
※1:「疑問語~推量系+、」は挿入句である。ここは筆者の感想や主張であって、実方の思いではない。
※2:敬意の対象は殿上となるが、殿上は宮中にあり、その宮中は帝の持ち物であるため、帝への敬意となる。
※3:「やらん」=「にやあらむ」。「にやあらむ」「にかあらむ」の際、「に」は断定、「む」は推量確定である。
※4:「召す」は尊敬語で「お呼びになる」「召しあがる」「お乗りになる」の他、「取り上げなさる」とも訳す。
縦書き用データ
上記をより見やすく編集したデータを掲載する。適宜ダウンロードして学習に活用してほしい。
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新規投稿の際に発信している。本サイト下部にリンクがあるので、参照されたい。
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