ここでは、利用者も多かろう『ステップアップノート30 古典文法トレーニング』(河合出版)に採録されている長文課題の、品詞分解解答例を掲載する。
なお、以下の二点にご留意いただくものとする。
- 品詞分解例は本サイト主が作成したものであること
- 品詞分解は具合によって(たとえば連語や複合動詞をどう分解するか)解答が異なること
「る(れ)の識別」(大鏡)の品詞分解例
大問二七(出典:『大鏡』)
◎品詞分解(名詞は基本的に非表示。非活用語は基本的に初出のみ。)
ひととせ、入道殿の、大井川に逍遥せさせ給ひしに、作文の船、管弦の船、和歌の船と分かたせ給ひて、その道に堪へたる人々を乗せさせ給ひしに、この大納言殿の参り給へるを、入道殿、「かの大納言いづれの船にか乗らるべき」とのたまはすれば、「和歌の船に乗り侍らむ」とのたまひて、詠み給へるぞかし。
をぐら山あらし(※1)の風の寒ければもみぢの錦着ぬ人ぞなき
申し受け給へるかひありて、あそばしたりな。御みづからものたまふなるは、「作文の船にぞ乗るべかりける。さてかばかりの詩を作りたらましかば、名の上がらむこともまさりなまし。口惜しかりけるわざかな。さても殿の『いづれにかと思ふ(※2)』とのたまはせしになむ、我ながら心驕りせられし」とのたまふなる。一事のすぐるるだにあるに(※3)、ましてかくいづれの道にも抜け出で給ひけむ(※4)は、古も侍ら(※5)ぬことなり。
※1:「嵐山」と「荒し」の掛詞。
※2:先の「かの大納言いづれの船にか乗らるべき」を指す。「にか」の後に「乗らるべき」を補う。
※3:「~だにあるに」は「~でさえ・・・であるのに」と訳す。「ある」は代動詞なので適宜形容詞や形容動詞を補う。今回は「稀なり」を補うとよい。
※4:「抜け出で給ふけむ(人)は」と補うべきなので「過去の婉曲」で解釈し、連体形とする。
※5:『大鏡』は語りの形態をとっているので、厳密にいえば敬意の方向は「語り手→聞き手」である。
縦書き用データ
上記をより見やすく編集したデータを掲載する。適宜ダウンロードして学習に活用してほしい。
商品リンク
新規投稿の際に発信している。本サイト下部にリンクがあるので、参照されたい。
コメント