『ステップアップノート３０　古典文法トレーニング』「『なり』の識別」の長文品詞分解

ここでは、利用者も多かろう『ステップアップノート３０　古典文法トレーニング』（河合出版）に採録されている長文課題の、品詞分解解答例を掲載する。
なお、以下の二点にご留意いただくものとする。

• 品詞分解例は本サイト主が作成したものであること
• 品詞分解は具合によって（たとえば連語や複合動詞をどう分解するか）解答が異なること

「『なり』の識別」（宇治拾遺物語）の品詞分解例

大問二八（出典：『宇治拾遺物語』）
◎品詞分解（名詞は基本的に非表示。非活用語は基本的に初出のみ。）

　さて(接助)廿日ばかり(副助)あり(ラ変・用)て、この(格助（体修）)女の(格助（主格）)居(ワ上一・用)たる(存続・体)方に(格助)、雀のいたく(ク・用)鳴く(カ四・体)声し(サ変・用)けれ(過去・已)ば(接助（順確）)、「雀こそ(係助)いたく(ク・用)鳴く(カ四・終)なれ(推定・已)。あり(ラ変・用)し(過去・体)雀の来る(カ変・体)に(断定・用)や(係助)あら(ラ変・未)ん(推量・体)」と(格助)思ひ(ハ四・用)て出で(ダ下二・用)て見れ(マ上一・已)ば(接助（偶然）)、この雀なり(断定・終)。「あはれに(ナリ・用)忘れ(ラ下二・未)ず(打消・用)来たる(ラ四・体)こそ(係助)あはれなれ(ナリ・已)」と言ふ(ハ四・体)程に、女の顔を(格助)うち(接頭)見(マ上一・用)て、口より(格助)露ばかり(副助)の物を(格助)落とし(サ四・用)て置く(カ四・体)やうにし(サ変・用)て飛び(バ四・用)て往ぬ(ナ変・終)。女、「何に(断定・用)か(係助)あら(ラ変・未)ん(推量・体)。雀の落とし(サ四・用)て去ぬる(ナ変・体)物は(係助)」とて(格助)、寄り(ラ四・用)て見れ(マ上一・已)ば(接助（偶然）)、瓢の種を(係助)ただ(副)一つ落とし(サ四・用)て置き(カ四・用)たり(存続・終)。「持て来(カ変・用)たる(完了・体)やうこそ(係助)あら(ラ変・未)め(推量・已)（※１）」とて、取り(ラ四・用)て持ち(タ四・用)たり(完了・終)。「あな(感動)いみじ(シク・終)。雀の物得(ア下二・用)て、宝にし(サ変・用)給ふ(尊（子→女）)」とて子ども笑へ(ハ四・已)ば(接助（偶然）)、「さはれ(感動)、植ゑ(ワ下二・用)て見(マ上一・未)ん(意志・終)」とて植ゑ(ワ下二・用)たれ(完了・已)ば(接助（偶然）)、秋になる(ラ四・体)ままに、いみじく(シク・用)多く(ク・用)生ひ(ハ上二・用)広ごり(ラ四・用)て、なべての(副)瓢にも(係助)似(ナ上一・未)ず(打消・用)、大きに(ナリ・用)多く(ク・用)なり(ラ四・用)たり(完了・終)。女悦び(バ四・用)興じ(サ変・用)て、里隣りの人にも(係助)食はせ(サ下二・用)、取れ(ラ四・已)ども(接助)取れ(ラ四・已)ども(接助)尽きも(係助)せ(サ変・未)ず(打消・用)多かり(ク・終)（※２）。

※１：「やうこそあらめ」は「理由があるのだろう」と訳す、頻出慣用表現。
※２：「多し」のみ、連用形のみならず終止形にも「多かり」が存在する。中古の和文でよく用いられる。

縦書き用データ

上記をより見やすく編集したデータを掲載する。適宜ダウンロードして学習に活用してほしい。

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