『ステップアップノート30 古典文法トレーニング』「助動詞(十)『なり』『なり』」の長文品詞分解

ここでは、利用者も多かろう『ステップアップノート30 古典文法トレーニング』(河合出版)に採録されている長文課題の、品詞分解解答例を掲載する。
なお、以下の二点にご留意いただくものとする。

  • 品詞分解例は本サイト主が作成したものであること
  • 品詞分解は具合によって(たとえば連語や複合動詞をどう分解するか)解答が異なること

「助動詞(十)『なり』『なり』」(沙石集)の品詞分解例

大問十六(出典:『沙石集』)
◎品詞分解(名詞は基本的に非表示。非活用語は基本的に初出のみ。)

 昔、愚かなる(ナリ・体)あり(ラ変・用)(接助)、人(格助(体修))(格助)なり(ラ四・用)往き(カ四・用)(完了・終)。さまざまもてなし(サ四・用)けれ(過去・已)ども(接助)なま(接頭)小賢しく(シク・用)由ばみ(マ四・用)て、いと()(係助)食は(ハ四・未)(接助)飢ゑ(ワ下二・用)覚え(ヤ下二・用)ける(過去・体)ままに、妻(格助(主格))あからさまに(ナリ・用)立ち(タ四・用)出で(ダ下二・用)たる(存続・体)隙に、米(格助)一頬うち(接頭)くくみ(マ四・用)食は(ハ四・未)(意志・終)(格助)する(サ変・体)ところに、妻帰り(ラ四・用)たり(完了・用)けれ(過去・已)(接助(順確))、恥づかしさに顔をうち赤らめ(マ下二・用)(ワ上一・用)たり(存続・終)。頬(格助(主格))腫れ(ラ下二・用)見え(ヤ下二・用)けれ(過去・已)ば、「いかに()」と問へ(ハ四・已)ども(接助)(係助)(サ変・未)(打消・用)いよいよ()赤み(マ四・用)たれ(存続・已)ば、「腫れものの大事(断定・用)て物(係助)言は(ハ四・未)(打消・体)(断定・用)(係助)とて(格助)驚き(カ四・用)て、父母に「かく()」と言へ(ハ四・已)(接助(偶然))、父母来たり(ラ四・用)(※1)て(マ上一・用)て、「いかにいかに()」と言ふ(ハ四・終)いよいよ()(係助)赤く(ク・用)なる(ラ四・体)(マ上一・用)、隣の者集まり(ラ四・用)て、「聟殿の腫れもの、大事(断定・用)おはす(尊(隣→聟))なる(伝聞・体)あさまし(シク・終)とて(格助)とぶらふ(ハ四・終)さる(ラ変・体)ほどに、医師を呼ぶ(バ四・終)べき(当然・体)(断定・用)て、藪医師(格助(同格))、近々にあり(ラ変・用)ける(過去・体)呼び(バ四・用)見すれ(サ下二・已)(接助(偶然))、「ゆゆしき(シク・体)御大事のものなり(断定・終)とくとく()療治し(サ変・用)参らせ(謙(医→聟))(意志・終)とて(格助)、火針を赤く(ク・用)焼き(カ四・用)て、頬を通し(サ四・用)たれ(完了・已)(接助(偶然))、米のほろほろと()こぼれ(ラ下二・用)(完了・用)(※2)けり(過去・終)

※1:カ行変格活用「来」+完了存続の助動詞「たり」と解釈しても文脈上は大して支障はないが、「来ている」「来てしまった」とするよりは単純に「来る」と訳せるほうが自然だと判断し、一語の動詞「来たる」を採用した。

※2:サイトやテキストなど複数の媒体で確認したが、どれも「こぼれてけり」と表記されていた。

縦書き用データ

上記をより見やすく編集したデータを掲載する。適宜ダウンロードして学習に活用してほしい。

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